覚悟を決めていたはずなのに、いざとなったらやっぱり狼狽えてしまう。

日記

風呂上がりに髪を乾かしていたら、頭頂部に違和感を感じた。
恐る恐る鏡に頭頂部を映してみたところ、

「な、なんじゃこりゃ!!(松田優作風)」

鏡に映った頭頂部は薄く、地肌がはっきりくっきり見えていた。

「こ、これはまるで、あ、あるしんど?!」

まるで落武者のように、河童のように、頭頂部のみ薄くなったパターン。
俗にいうザビエルハゲではないか。

親父がハゲていた僕は遺伝もあるだろうから、将来自分がハゲるであろうことは若い頃から覚悟していた。

だから、どうせハゲるなら、バーコードスタイルで女々しく隠すよりも、サンプラザ中野氏や松山千春氏のように、潔くスキンヘッドにしてやろうと決めていた。

ところが、いきなりのハゲ具合に戸惑った。

僕の予定では徐々に薄くなる過程で、心の準備を整えてからスキンヘッドにするつもりだった。

だが、やばい、まだ心の準備が出来てない。

しかもここまでハゲるまでなぜ気付かなかったんだ?
なぜ誰も何も言ってくれなかったんだ?

こんなにハゲているのに。

バーコードでも隠しようもないくらいにハゲているのに。
誰が見てもわかるくらいにハゲているのに。

さては、お笑い芸人の斉藤さんの自虐ネタ笑って見ていた僕を、みんなはこっそりと嘲笑っ見ていたに違いない。斉藤さんじゃなく俺を笑っていたんだ。

ハゲた自分の姿よりも、それに気付かずに今まで過ごしていたことが無性に恥ずかしい。

ここまでハゲる前に、

「薄くなってきたよ」

と、誰か一言でも僕に教えてくれたらよかったのに。

もうこれ以上恥ずかしい自分をさらしてはいけない。
この恥は受容できない。

「僕はブルースウィルスになる!」

心の準備が出来てない自分にそう言い聞かせ、僕は電気シェーバーを手に取り頭に当てた。

と、
その瞬間に目が覚めた。

咄嗟に頭頂部を確認する僕。

まだふさふさと髪の毛が残っていた。
手探りで頭頂部を確認するが、まだ地肌も手に触れるほど薄くはないかった。

どうやら夢だったようだ。

「夢でよかった」

ほっと胸を撫で下ろす僕。

夢とはいえ、覚悟を決めていたはずの事態に、狼狽える自分が少し情けなかった。

覚悟と一緒に心の準備もしておかなければいけない。
そう感じた朝だった。

 

正夢にならないことを願いたい。

 

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