竜宮城への招待を心待ちにしているが、彼(亀吉)は迎えに来てはくれない。

日記

どれくらい前のことだったか。
営業で外回り中の僕は、車を運転しながら路上にあるものを見つけた。

拳大くらいの石ころ。

道路のど真ん中に何でこんな石ころが?
不思議に思い路肩に車を停めると、その石ころが動き出したではないか!

え?
何?

驚いた僕。
でも近づいてよく見ると、石ころに見えたその物体は何と、
亀でした。

こんな大通りを横断してたら、車に潰されちまうぞ。

僕はその亀を家に連れて帰った。
ちょうど飼っていた金魚がいなくなって、水槽が空いていたから、その亀を飼うことにした。

「亀吉」と名付けて、
(もしかしたらメスだったのかもしれないが)

一年くらい飼っていただろうか。
拳大だった彼は二回りほど大きく育ち、次第に水槽が窮屈になっていった。

調べてみると彼は「クサガメ」と言う在来種だとわかったので、亀吉を近くの川辺に放してやることにした。

天気のよい、とある日曜日に、僕は亀吉を連れて近くの川辺に向かった。
川辺の草むら前にそっと放すと、亀吉は別れを惜しむ様子もなく、そそくさと草むらへ姿を消して行った。

あっけない別れだった。

いつか亀吉が、僕を竜宮城へ連れて行ってくれるのではないかと、心待ちにしているのだが、彼は一向に僕を迎えには来ない。

薄情な亀だ。

 

 

コメント