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僕は偽善者だから、助けた彼らからの恩返しに期待してしまう。

日記
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外回りの途中で僕は瀕死の雀を助けた。

道端に目をやると、雀が横たわっていた。死んでいるのかなと思い、指先で突っついてみると、パタパタと翼を動かす彼女(雄か雌かわからないが、ここは雌としておこう)。

こんなところで横たわっていたら、車に潰されてしまうか、烏の餌食になってしまうだろう。

実は僕は動物が嫌いではない。特に傷ついた動物には、優しさが溢れ出すかなりの偽善者なのだ。
僕は雀ちゃんを保護することにした。

雀ちゃんを手に取り、羽根を広げて観察してみたが、どこも傷ついたような気配はない。たぶん、飛んでいる最中にどこかにぶつかってしまい、脳震盪でも起こしているのかも知れない。

僕は車の助手席に彼女を乗せて、外回りを続けた。

何件かの仕事をこなし車に戻ると、助手席でぐったりとしていた彼女が元気を取り戻したのか、ちょこんと助手席に座り、目をぱちくりぱちくりさせながらきょろきょろと辺りを見回している。
やっぱり軽い脳震盪だったのだろう。これなら、もうしばらくすれば、また飛べるようになるだろう。

でも、雀ってじっくり見てみると何だか可愛い。
身体が小さいかも知れないが、小さきものは全てが可愛いのかも知れない。農作物を集団で荒らし、狩猟鳥獣に該当する小さな怪獣でも、単体の小鳥としてみれば、何となく情が湧いてしまう。

 

ついつい、

このまま飼ってしまおうかとか思ったりもする。

 

野生のものは野生に返すのが一番。

可愛い雀ちゃんを眺めていると、このまま飼ってしまいたい欲求にも駆られるが、やはり、野生のものは野生に返すのがいいだろう。

ケガもしてない様子だし、元気に飛び回れるようになれば、僕が保護し続けることも必要ない。このまま返してあげれば、もしかしたら恩に感じてくれて、いつの日か「雀のお宿」へ招待してくれるかも知れない。

僕は昔話の「舌きり雀」を思い浮かべた。
よし、お土産を頂くときは、欲を張らずに小さな葛籠を選択することにしよう。

そんなことを考えながら雀ちゃんに視線をむけると、小さな翼をはたはたと動かし始めた。脳震盪のめまいが収まってきたようだった。
僕は路肩に車を停めて、助手席の彼女をそっと優しく手で包み込み、車の外に連れ出した。

雀ちゃんは車の外の空気を感じてか、翼を広げようと、僕の手の中で身体をよじるような強い動きを見せた。
僕は大きく手を掲げて、ゆっくりと広げていった。

雀ちゃんは僕の手の平から小さな翼をぱたぱたと羽ばたかせて、勢いよく空へと飛び立った。

僕は小さくなる雀ちゃんを見送りながら、心の中で何度も呟いていた。

 

恩をわすれるな。

 

そうです。間違いなく僕は偽善者なのです。

果たして彼女は恩返しに来てくれるのだろうか。

そういえば、僕は数年前の夏の日に道路で立ち往生している亀を見つけて保護したことがある。
炎天下の路上で干からびそうな彼(雄か雌かわからないけれど、便宜的に雄ということにしておいた)を僕は救って、自宅まで連れ帰った。

ちょうど飼っていた金魚が亡くなってしまて、水槽が一つ空いていたので、僕はそこを彼の居住先に提供し、暑さの峠を越えた秋口までの数か月の間、住まわせてやった。
調べてみると彼は在来種のニホンイシガメの幼体でゼニガメと呼ばれる種類だということがわかった。

拾ってきたときは鶏の卵ほどの大きさしかない彼だったが、ひと夏を超えた頃には二周りほど大きく成長していた。彼は意外にグルメで、大好物は小エビだった。僕は干した桜エビを彼の主食に毎日提供した。

秋口に、きっと冬眠の準備もあるだろうからと思い、僕は彼を自然に返すことにした。
近くの河原に連れていき、彼をそっと草むらに放つと、彼は礼も言わず振り向きもせず、さっさと草むなの中に消えていった。

それから、僕は彼の恩返しを待ったが、彼は一向に僕を竜宮城へは招待してくれないかった。

 

薄情な亀だよ。

そんな愚痴をこぼす僕を、
「恩返しを期待するならウミガメを助けた方がいいんじゃない」
長女の桜は笑いながら、そう諭した。

 

そうか、ウミガメじゃないとだな。

 

そう。僕は偽善者だから、恩返しを期待してしまうんだ。

 

 

コメント

  1. SHOKO より:

    コメントありがとうございます!

    私も投稿見させていただきます(灬ºωº灬)♩

    • ひでじ ひでじ より:

      SHOKOさんこんにちは。

      こちらこそコメントありがとうございます。
      僕もまた訪問させて頂きます。