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父子家庭の父親に再婚話しが出たとき、子供のことと自分のこととどっちを優先する?

回顧録

意外に充実してきていた父子家庭の僕。

周囲が僕の離婚に気付き始め、僕がその理由や原因に口を閉ざし、理由を聞かれても、

「僕が悪いことしたからじゃないの」

くらいの発言しかなかったことから、この離婚が僕の責にあるのではないかと事実と異なる噂が飛び交っていたが、人の噂も75日である。
3ヶ月もすると噂の賞味期限も切れはじめ、その頃には僕は、子育てを頑張る男親としか見られないようになっていた。

僕の地元は田舎だったこともあり(一応市でしたが)、離婚の際に子供らを父親が引き取るということは極めて少なかったのかも知れないが、いつも子供を連れている僕は、次第に子育てに積極的な父親というような、当時はそんな言葉もなかったが、今でいう「イクメン」みたいに好印象で受け取られるようになった。

休みの日にはベビーカーに幹を乗せ、桜の手を取り歩く親子3人連れ。
たぶん子供らが僕といていつも楽しそうに笑っていてくれたからだと思うけれど、父子家庭のわりに毎日が充実していた。

その頃ついた僕のあだ名は、

 

「子連れ狼」だった。

 

バツイチ子持ちでも何故か見合い話が幾つも舞い込んでくる。

僕はもともと、調理師になりたいと思っていたくらい料理は好きだったし、それを諦めて進学したときには、4年間自炊しながら学生生活を送っていたし、更には保父さんになりたくて保母資格の受験もしたくらいだった(学科は通ったが、実地試験でオルガンが弾けずに断念しました)

そんな経歴もあるので、父子家庭になっても家事育児はそれほど苦にはならなかった。もちろん最初は仕事や家事育児の両立にかなり苦労もしたけれどね。

自分で言うのも何だけど、僕ぐらい父子家庭に適した父親もいないのではないかと思うくらいだった。

そうこうしているうちに、周囲から再婚話しを持ちかけられるようになった。

「そろそろいいんじゃないか」

と。

離婚した父親が子育てに一所懸命になる姿は、変な誤解を生むから気を付けろ。
僕が離婚したときの友人たちの反応。 僕は離婚したことについて自分からはあまり大っぴらに話すようなことはなかったが、徐々にそれも自然に周囲に周知されていった。 僕の離婚を知った職場の人や友人たちはかなりびっくりしていた。 「何で?」...

この記事にあるように、離婚して子育てに集中していた僕は、別れた妻に未練のある男に勘違いされていたわけで、それが邪魔をして、周囲から再婚話しを持ちかけ難い雰囲気だったと、そのときにはじめて知った。

そして僕が別れた妻に未練があるわけではなく、ただ子育てに没頭していたから浮いた話しがでなかったということが周囲に理解されだすと、けっこうな数の再婚話しを頂いた。

どうなんだろうね。

そんな話しを受けるその頃は父子家庭になって2年ほど経っていたから31歳くらいだったと記憶しているが、子供たちを第一に考えていた僕は、あまり気乗りもしなかった。

親戚、知人、職場の上司が、何度も声を掛けてくれた。
職場の上司からの紹介を半ば断り切れなかったこともあって、一度だけ会ってみるだけでもということになった。

その女性は年齢が27歳。
はっきりいって美人だった。バツイチの僕なんかじゃもったいないと思ってしまう。
彼女くらいの美人なら独身の男性を見つける方がずっといいだろうし、それこそ男がほっておかないんじゃないかと思うようなお相手だった。

 

性格に難ありなのか?

 

 

初めてのデートは、もちろん子連れで。

性格に難ありじゃないかと、そう思った。
だってさ、ぜったいバツイチの僕なんかじゃもったいないもん。

だが、

僕のその予想はまったく外れていた。
性格もめっちゃ良かった。

優しいし、気が利くし、明るいし、穏やかだし。

最初のデートに僕は子供らを同伴させてほしいと話そうと思っていたが、逆に彼女の方からそれを希望してきた。

「一緒に出掛けましょう」

子供らも連れて4人で出掛けた。
彼女は子供らにも気を配りながら、桜にも幹にも、分け隔てなく接してくれている。
桜は少し警戒心を持っているのか、僕の傍から離れようとしなかったが、幹は彼女にくっついて追っかけっこしたり、彼女に抱っこされたり、傍から見て本当の親子に見えなくもなかった。

それから、僕らは何度か一緒にお出掛けをした。

毎回子供らと一緒なのは、彼女の希望だった。
子供らも懐いてきたし、桜も母親というより話ができるお姉さんくらいの気持ちで、彼女と付き合えるようになっていた。

もしかしたら、うまくいけるような気がしていた。
彼女が子供らの母親になってくれたらどんなにいいことかって、そんな風に考えるようになっていた。

 

でも、この話はお流れになった。

 

子供らの母親を求めた僕、僕の妻になることを求めた彼女。

彼女の方から断りの言葉を聞いた。
彼女は僕が子供らを連れて買い物したり、公園で遊んでいるのをよく見かけていたという。最初は子育てを頑張るいいパパだな、奥さんは幸せだなとか思っていたらしい。
だけどどこからか僕らがい家庭であることを聞いて、僕に興味を持ったと話してくれた。

何度か一緒に出掛けて、子供らとも仲良くなって、僕とだったら結婚してもいい、子供らの母親になってもいいと考えたと。

でも僕の態度に不安がよぎったみたいだった。

僕はたぶん子供らの母親になることを彼女に求めた。
でも彼女は僕の奥さんになることを求めていたと。

「桜ちゃんも幹くんも、わたしは大好きになれた」
「きっと、あの子たちが許してくれるなら、母親にもなれた」

彼女はうつむきながら言った。

「でも」

「わたしはひでじさんの彼女として見て欲しかった」
「子供たちの母親になる女としてじゃなく、あなたの妻になる女として見て欲しかった」

彼女は自分から、子供らと一緒のデートを持ち掛けてきたけれど、僕の口から「二人だけで会いたい」と言ってくれるのを待っていたという。
確かに僕は彼女に対して、子供らの母親になる女性としてしか接していなかったかも知れない。
彼女と付き合ってい間、二人だけで会いたいという感情は湧いてこなかった。

子供らの母親。

 

それが再婚相手に対しての絶対条件だと、

僕は考えていたから。

 

 

最後まで僕の子供らを気遣ってくれた彼女。

「ひでじさん、子供のことも大事だけど、自分のことも大事にして」
「変な関係でいると子供たちに悪い影響を残しちゃいけないから、もう会わないようにしようね」

最後まで僕の子供らのことも配慮してくれた彼女。
もしかしたら僕は、

大きな魚を逃がしてしまったのかも知れない。

 

でも、街中で偶然会ったら、

子供らにちゃんと笑顔で声を掛けてくれるんだよ。

 

今頃は幸せになってくれているだろうか?

 

 

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