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初めてのデートは、定番の場所だったけれど、一緒に過ごせればどこでもよかった。

回顧録

僕と彼女の初めてのデートは定番なんだけど、ディズニーシーだった。

翌日は彼女とのデートだった。
この一日をとおして彼女に僕をしっかり見てもらおう。

昨晩は張り詰めた緊張の緩和から死んだように眠りについた僕だったが、やはり翌日はいつもより早く目が覚めた。
シャワーを浴びて一息つく。
心臓の高鳴りがホテルの部屋中に響いている感じだ。

「馬鹿じゃないのか、30過ぎたおやじが、たかがデートじゃん」

と、自分で自分に喝を入れてみたりする。
でも女性と二人っきりで出掛けることなんて、父子家庭になってから皆無だった僕は、まるで中学生か、高校生が初めてデートするときと同じようにドキドキしていた。

昨日顔を合わせたことで、緊張は和らいでいるはずなのに。

デート場所は定番のディズニーシー。

実は僕はディズニーシーの存在を知らなかった。
彼女がデートの場所を決めるときに、

「子供たちと一緒ならランドだけど、ひでじさんと二人っきりならシーだね」

と提案してくれた。

ディズニーランドでさえ何年ぶりだろうか。
確か3回目くらいかな?
最初に行ったのは高校生くらいだった。
まだ出来たばかりでアトラクションも今のように揃ってなかったような気がする。

そのあとは、一度だけ子供らを連れて来たことがあっただけだったから、その隣りにディズニーシーという施設が出来ていたことなど知る由もない僕だった。

 

え?ディズニーシー?
なにそれ?って感じだったよ。

 

 

昨夜の緊張感がぶり返してきた。

彼女がホテルの前まで車で迎えにきてくれることになっている。
2人で朝食をとりながら出掛けようと約束していた。

部屋に備え付けのコーヒーを静かに口にしながらも、やたら時計を気にしている自分がいた。

「はははは(笑」

何だか、ソワソワしている自分が妙に面白い。
こんな気分になるのは、ひょっとしたら生まれて初めてなのかもしれない。

約束の時間5分前に俺は部屋を出た。
デートした後の宿泊は予定に入れてなかった。

「デートが終わったら、翌日の飛行機の時間まで一緒にいよう」
「だから、デートの日の宿泊は予約しないでね」

そう彼女に言われていた。

でもね~、もし彼女からの返事が、

「ごめんなさい」

だったら僕は野宿しなくてはいけないのだろうか?
そんな不安が頭を過りながらも、僕はホテルのフロントでチェックアウトの手続きをした。

ホテルを出ると彼女が車を止めて待っていてくれた。

「おはよう、天気よくてよかったね」

にっこりと笑って、あいさつしてくる彼女。

「おはよう」

と平静を装いながら返す俺。
彼女の笑顔を見ると、収まった胸の鼓動が再び大きく響き出した。

 

やばい。

また緊張感がぶり返してきた。

 

 

彼女と一緒に過ごすことが目的、場所はどうでもよかった。

彼女の運転で一路ディズニーシーへ。
助手席に座り未だドキドキの緊張を保っている僕に、

「朝食はすんだの?」

と、話し掛けてきた彼女。
緊張で食欲がわかなかった僕は、

「いや、寝坊してしまって、まだ食べてないんだ」

と、本当はいつもより早く目が覚めたくせに、そんな返事を返した。

「じゃあ、朝マックしていきましょう。
「今朝は、わたしもまだ食べてないの」

彼女はハンドルを握りながら僕にそう声を掛けてきた。
途中、道路沿いのマックに寄り、少し遅めの朝食をとる僕と彼女。

そこでも色んなことを話したような気がするけれど、その殆どが僕の記憶からは薄れてしまっている。ただ、対面に座ってコーヒーを口にする彼女の唇の薄らとした口紅の色が、今でも新鮮に俺の脳裏に残っている。
何を考えながら彼女の唇を見ていたのか?

それは、きっと、

「【OK】だったら、帰る前にキス」

という、彼女と決めた返事の行方だったんだろうな。

朝食をすませた僕と彼女は再び車を走らせる。
2時間くらい走ったのかな?ようやく目的地のディズニーシーへと到着した。

当初、僕がまだ出来たことさえ知らなかったディズニーシーへ入る予定だったが、その日は入場制限がかかっていて午後3時以降じゃないと入園できなかった。

「どうする?3時まで待ってみる?」

彼女が僕を気を遣うように聞いてきた。

「いいよ、待っているのも疲れるだけだし」
「君さえよければ、ランドの方に入っちゃおうか」

この日一日、彼女と楽しめれば、

 

僕は場所なんて、

どうでもよかったんだ。

 

 

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